子どもと学べる禅語 一期一会(いちごいちえ) ~一生に一度の出会いを大切に~

たった一度の出会い

「一期一会(いちごいちえ)」という言葉を聞いたことがありますか?
これは日本の伝統文化である「茶道(さどう)」に由来する言葉で、「一生に一度の出会い」と訳されることが多いです。
つまり、「今この瞬間に出会っている人と過ごす時間は、二度と同じようには訪れないかもしれない」という意味です。

たとえば、今日あなたが友達と話した会話。家族と食卓を囲んだ時間。
それは明日もまた同じようにあるかもしれませんが、「全く同じ状況」は二度とありません。
そう考えると、何気ない一日や一言が、とても貴重に思えてきませんか?

茶道に込められた精神

この言葉を広めたのは、千利休(せんのりきゅう)という有名な茶人です。
千利休は、お茶をたてるだけでなく、その場に集まった人々が心を通わせることを何より大切にしました。
「今日のお茶会は、二度と同じものはない」と考えて、亭主(ていしゅ・おもてなしをする人)は客のために心をこめて準備をし、客もその心を受け取る気持ちで臨みます。

だからこそ「一期一会」。
たった一回の出会いでも、心を込めて向き合えば、その時間は一生忘れられないものになる。
そうした美意識が、日本文化の中で大切にされてきました。

現代に生きる一期一会

では、現代の私たちの生活において、「一期一会」はどう関係しているのでしょうか。

たとえば、コンビニのレジの店員。
一度だけ話したバイト先の同僚。
ネットで偶然つながった人。
それらすべてが、あなたの人生に登場した「出会い」です。

今はスマホやSNSで気軽に人とつながれる時代です。逆に「一つの出会いを深く大切にする」ことが難しくなっているかもしれません。
でも、どんなに短くても、たとえその人ともう二度と会わないとしても、その出会いがあなたの心に何かを残すことがあります。

道端で偶然に出会った人でも、「一期一会」になるのです。

さいごに

今、あなたの周りにいる人たちは、明日も何度も会えると思ってしまうけど、転校や、卒業して会えなくなる日もきます。だからこそ、いつも会う人にも大切に接することが大事なのです。出会いはあなたにとって大切な宝物です。もし別れがきたとしてもお互いを思いやる関係が築けていたら、とても素敵な思い出になることでしょう。

一期一会のもう一つ別の捉え方として、今は家族や友人とは何度も卒業で別れがやってきます。人の寿命や転校・卒業、さらには自分の命ですら終わりはきます。このような諸行無常の教えを表した一度きりの人生を示した言葉を一期一会であるともいえます。

私たちはつい、同じことの繰り返しの毎日だとダラダラ一日を過ごしていませんか。限りある人生だからこそ、今を大切に生きたいですね。あなたは一度きりの限りある人生を何に使いますか?

人との出会いを大切にし、手に入れた幸せも変化しやがて過去になります。だとするとどんな場面でも今という一瞬一瞬を大切にしたいと思いませんか?そんな意味が「一期一会」にはあるのではないでしょうか。


「今このときに真心を尽くすこと」が、一期一会の本質です。
今日という日、今この出会いを大切に生きていきましょう。

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