禅語「時々勤払拭」――こまめにきれいにする心の修行
時々勤払拭(じじに つとめて ふっしきせよ)という禅語があります。
文字を見ると少しむずかしそうですが、意味はとてもシンプルで、
『よごれやホコリを見つけたら、後回しにせずにすぐにきれいにしよう』という教えです。
ちょっとしたよごれやホコリでも、後回しにし続けると山のようにたまっていき、いざ掃除をする時には大変になってしまいます。
しかし、その場その場で掃除をしておけば、ちょっとの労力できれいにすることができますね。
また、ここでいう「ほこり」は、もちろん部屋にある本物のほこりでもありますが、
禅の世界では、心のほこりという意味もふくんでいます。
ものをきれいにすることは、心をきれいにすること
禅の修行では、朝起きるとすぐに掃除をします。
それは、お客さんが来るからでも、先生にほめられるためでもありません。
掃除そのものが、心をととのえる修行だからです。
人の心は、毎日すこしずつ揺れたり、にごったりします。
・友だちとちょっとケンカした
・学校でうまくいかなかった
・なんとなくイライラしてしまう
こうした気持ちの「ほこり」が、知らないうちに心にたまっていきます。
掃除をして、よごれた場所がきれいになると、
心の中もスッと晴れていくような気持ちになります。
禅はこのことを、昔から大切にしてきました。
こまめにやることの意味
「時々勤払拭」の大切なポイント は、その時その時という部分です。
一気にまとめて大掃除をすると、たしかにきれいになります。
でも、時間もエネルギーもたくさん必要です。
反対に、
- 机の上を使うたびに整える
- 靴を脱いだらそろえる
- お皿を使ったらすぐ片づける
こうした小さな掃除『払拭(ふっしょく)』をこまめに続けると、
部屋も心も、いつも気持ちよく保たれます。
禅では、小さなことをまじめに続ける人の心は美しく育つと考えます。
大さわぎせず、大ごとにせず、
毎日少しだけ、心をこめればいいのです。
例えば、こんなことに気をつけて「時々勤払拭」
では、この禅語をどのように生活で使えるでしょうか?
【机やランドセルをこまめに整える】
明日は大事なテストがある。今日は勉強しなくちゃと思ったら・・・。机にマンガ本やゴミが散乱している。
普段から小まめにきれいにしてたら、すぐに勉強に取り掛かれたはず。
ランドセルから教科書を取り出そうとしたら、中身がぐちゃぐちゃで見つけられない。
毎日、机をきれいにかばんの中身は整頓しておけば、
次に勉強するときにスムーズに始められます。
【友だちが遊びにくるけど部屋が散らかってしまっている】
友だちと自分の家で遊ぶ約束をしたけど、部屋は散らかってるし床はホコリだらけになってる。
自分の家で遊ぼうなんていわなきゃ良かった・・・。
毎日、お母さんから部屋を掃除しなさいと言われていたのに、面倒くさくて掃除してなかった。
小まめに掃除しておけば良かったな。
【友だちとケンカしたけど、すぐに謝らなかったら・・・。】
もし友だちにきつい言い方をしてしまったら、
心の中に「もやもや」が生まれます。
それをそのままにしてたら、友だちとずっと気まずい関係になってしまった。
また、仲良くお話したいのに。
その時、すぐに謝ったり・お礼のありがとうをいうことはとても大切です。後で言おうは、どんどん言いづらくなって気持ちもモヤモヤします。
まとめ 小さな「きれい」が、心を育てる
「時々勤払拭」という禅語は、
こまめに掃除し、こまめに心をととのえることで、
毎日をスッキリ生きることができる
というやさしい教えです。
大きなことをしなくてもいい。
今日からできる“小さな一歩”が、あなたの心を整えてくれます。
机を片づけることも、靴をそろえることも、
友だちにやさしくすることも、
どれも立派な「時々勤払拭」です。
今を大事にする禅ならではの教えだと思います。
面倒くさいに負けず、小さな今を大切に生きていきたいですね。
